透明な海とそうでない所があるのは、なぜ?





◆【子供への わかりやすい回答例】


 海には、「プランクトン」という小さな小さな生き物がいるんだけど、
聞いたことがあるかな?

 あまり泳ぐ力が無くて、海の水の流れにそのままフワフワと
浮いているような生き物を「プランクトン」と言うんだよ。
ちょうどクラゲみたいな生き物だね。

 エビ、カニ、魚などの幼虫も「プランクトン」と呼ばれるし、
”光合成”をしてくれる小さな生き物も「プランクト」と呼ばれるよ。


”光合成”って忘れちゃった? 
【どうして葉が緑色なのか?】
を参照下さい)



プランクトンがいっぱいいると、水は透明ではなくなってしまうよね。

 プランクトンの中でも光合成をしてくれるプランクトンがあまりにも
増えすぎると、赤潮(あかしお)と呼ばれるほど、海の色が変わってしまって
プランクトンがいっぱい魚のエラに入り込んだりすると、
息が出来なくなった魚がいっぱい死んじゃうんだよ。


 緑じゃなくて、何で赤なのかというと、もちろん光合成をするから
プランクトンは緑色のクロロフィルも持っているけど、それ以外に、
赤い色の「カロテノイド」という物を持った物が多いんだよ。
*名前が難しくてゴメンね。

 だから、あまりにも増えすぎると海が赤く見えてしまうことがあるんだ。



 どういう時に、そんなに増えてしまうかというと、
栄養が、いっぱいあると、どんどんプランクトンが増えちゃうんだよね。
普通の海には、そんなに多くは栄養が無いんだけど、
汚れた川には、栄養がいっぱいなんだ。

 工場や家から出てくる水を、きれいにしないまま流している川などは
プランクトンの栄養がいっぱい入っているんだよ。


 だから透明でない海はあまりきれいでない事も多いんだ。
ましてや、赤色なんかに見える海は。。。魚も大変だね。


 近くに人があまり住んでいない海は、きれいな海が多いよね。


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【解説】

 プランクトンというのは、水中や水面を浮遊している生物全般を示します。

 光合成を行う植物性プランクトンと、摂食をする動物性プランクトンに
分けられることが多いです。クジラのエサになるオキアミなども
動物性プランクトンに入ります。


 植物性プランクトンは光合成が必要なため、光が届く範囲でしか
生息できません。海面から水深数m〜150m位の水域に生息するようです。



 地球観測プラットフォーム衛星「みどり」が、クロロフィルの
濃度を地球規模で観測しています。

こちら
を参照下さい)


 これを見るとわかるように、大陸の沿岸部。特に欧州など、人口密度が
高そうな地域と、水深が比較的浅そうな地域に多く分布しています。

 植物性プランクトンの分布は栄養と水深に、関係するように思われます。

 南極の海が一番透明度が高い。という意見もあります。
生活排水がなく、プランクトンの栄養が乏しいからではないでしょうか。

-------私見です-------
なぜプランクトンは北海に多いのですか?という質問に対する
正確な解答はわからなかったのですが、北海は、栄養価の高い水が
川から流れ込んでくる。比較的水深が浅いエリアが多い。プランクトンを
捕食する生き物が南海に比べて少ない?という、事ではないかと
推測します。また透明度が高い南海の小さな島などはそもそも川がなかったり
無人島だったりする事も多いと思います。
 もし答えがお分かりの読者がいればお知らせ下さい。)
-----------------------


 ちなみに、透明度は、直径30cmの白い円盤を水中に沈めて、
肉眼で見える深さまでを透明度としています。


 ダイビングで潜った、サイパンや沖縄のケラマ諸島では、
本当に海の水が透けていました。透明度20mとか30mとかの
素晴らしい海でした。(10年以上も前の独身時代の話です(笑))



以上のような、メルマガの記事に対し、読者の方から意見を頂きました。
本当にありがとうございます。

やまねのねさんからのメール

ご無沙汰しております、やまねのね、こと○○と申します。

今回の北海はどうして濁り、南海はどうして透明なのか?ですが、
栄養が豊富なため、プランクトンが多いから、は問題ないと思うのですが、
北海にプランクトンが多いのは、最近、流行の(?)深層水が関係して、
北の海に無機栄養分が多く含まれていることが分かってきたようです。

NHKが特集番組を放送したようです。
http://www.nhk.or.jp/school/junior/yougo37.html

南半球では深層海流は沈下するばかりのため、湧き上がるところが少ない
(一部の島など除き)ということが南の海が澄んでいる原因のようです。
暖かい海の暖流にもプランクトンが少ない訳ですね。

アラスカ沖やカリフォルニア沖では、深層海流が上昇する影響でオキアミが多く、
ザトウクジラが出産のため?に移動してくる、と聞いたことがあります。

ご参考までに。



「FELIX 二子玉川教室」の吉田さんからのメール

こんにちは。ご無沙汰しております。
【パパが教える科学の授業】の刊行、心からお祝い申し上げます。
(すみません。生徒に紹介してるのに、自分はまだ買いに行けてないんです(m_m))

今回の件で、参考になるかもしれないHPがありますので、お知らせいたします。
東大の地球惑星物理学科のHPです。
ここは「ニュートン」で有名な故竹内均先生のお膝元ですね。

http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/jp/gakubu/geoph/aos/

数か月前、クジラの話をNスペでやっていました。
クジラがプランクトン(オキアミ)の少ない南の海でなぜ子育てするのかといった
話だったと思います。
その中で、南の海の「透明な海」の話が出ていたのを思い出しました。
忘れないうちにと思ってメールさせていただいた次第です。

ベーリング海やペルー沖では、海洋深層水の湧出があります。
それは、大陸から沖へ吹く風で表層の海水が吹き寄せられ、それがポンプの働き
をして、深層水をくみ上げている(変な表現ですが)というわけです。

一方、赤道近辺では強い東風(貿易風)吹いているので、深層水の湧出がないの
で、海水の栄養が極端に少なくなり、いくら暖かくてもプランクトンが生育でき
ないということらしいです。

もっときちんとお調べしてからメールすべきでしたが、とりあえずと思い送らせ
ていただきました。何かのお役に立てれば幸いです。

今年の冬は暖冬のようですが、どうかお風邪など召されぬようご自愛ください。




おゆなむさんからのメール

既に他の方からお話があるとは思いますが、
いちおう「海洋環境学学士」としてはひとこと言いたかった
ので、メールをさしあげました。


海水(水)は、4℃で一番密度が高くなります。要するに重くなる。
深海底の水温は4℃なんです。
つまり海水は冷やされると対流するのです。
だから深いところにある栄養分が対流によって上昇し、
それを餌にするプランクトンが増えるということです。
だから魚介類は寒いところや冬にはよく太っておいしくなるのです。

もうひとつの理由は「地球が回っているから」です。

この説明は少し長くなりますが…

回転する物体の中心と円周では速度が違います。
棒をまわすと中心は動きませんが外は動いてますよね。
もし棒の全てが同じ速度で回転したら
そもそも回転しませんよね。
では棒ではなく「やわらかいひも」だったらどうでしょうか。
やわらかいひもをまわそうとすると、
最初は中心が先に回りはじめ、それから外側が回り始めます。
外側から見ると中心が先に進もうとして
引っ張られるように見えます。
この引っ張る「ちから」のことを「コリオリのちから」と言い、
(コリオリさんという人が気がついたのでこの名前です)
この力で海流が生まれているのです。
地球の海水は「やわらかいひも」と同じことが起きているのです。

(ちなみに北半球と南半球で台風の回転方向が違うのはこのせいです。コリオリの力の方向が逆
になるから。
お風呂の水が吸い込まれるときにできる渦巻きの回転方向も北半球と南半球では逆になります。
地球凄いっ!)

で、赤道近く(回転する地球の一番速度が速い外側)で生じた海流は地球の回転にあわせて東から
西へ移動します。
移動したところにそれぞれ、
ユーラシア大陸、アメリカ大陸、アフリカ大陸があります。
この巨大な壁にぶつかって、海流は極に方向を変えます。
そして行き場を失った海水は極地方にある海底の丘(堆:たい)や、
大陸そのものにぶつかり、
湧き上がります(湧昇流:ゆうしょうりゅう)。
この栄養たっぷりの海水をプランクトンが餌にするのです。
(死んだプランクトンが落ちていった海の底では、
 微生物がその体を分解して
 再び栄養に戻してくれているのですが、
 そのままだと海底に沈んだままなんです。
 ところが海底には太陽の光が届かないので、
 その栄養を必要とする生物が生きることができないのです。
この栄養をなんとかして光の届くところに持って来れたら
 ばんばんざいですよね。
 その役目を湧昇流や海水の対流がしているのです)

ちなみに南極の海も同じで、だから鯨が多いのです。
北の海で魚が良く取れるのは、プランクトンを大量に食べる鯨がいないからです。それだけ余っ
た餌があるってことですね。

でもって北の海にプランクトンを大量捕食する鯨が少ないのは、
100年ぐらい前に、
アメリカやヨーロッパの国々が捕りつくしてしまったからです。
太平洋に限って言えば犯人はアメリカさんなんですけど…(^_^;)

南極の鯨は日本も捕っていましたが、
捕り尽すまでは、捕っていません。
今は資源保護のおかげでむしろ鯨は増えています。

と、これはわき道話でした。(^_^)





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